招き猫の起源はいろいろありますが、どの説も猫が商売繁盛や幸運を象徴する動物として信仰されるようになったというあらすじは一致しています。
日本では約300年前、江戸時代のある寺で飼われていた猫が、招き猫の起源になったと伝えられています。
ある日、富豪の商人が、仕事の帰り道で道に迷ってしまい、陽も落ちて暗くなっていく山中で途方に暮れてしまったということがありました。暗い山中は不気味で、やがて小雨が降りはじめ、商人は周囲を見渡したりしましたが、一件の農家も見えません。
やがて、風も吹き始め、生きた心地がせず、絶望の心境になり始めたころ、風の音に混じってどこからか可愛い猫の鳴き声がするので、注意深くその方向に足を進めていくと、深い山中に粗末で小さな寺がたたずんでいるのを発見することが出来たそうです。商人は生き返った心地になって、寺の僧侶に一夜の宿を願い出たところ、丁重に迎え入れられたので、ホッとした心境になったそうです。
その後、商人は猫が招いてくれたおかげだということで寺に多額の寄進をしました。これをきっかけに、寺の猫は「招き猫」と呼ばれるようになり、やがて商売繁盛や幸運の象徴として信仰されるようになったということです。
この説が流布され出した頃の江戸時代は、商人の地位が向上し、貨幣経済が発達し始めた江戸の中期にあたり、商売繁盛や事業の成功を象徴するマスコット的存在が庶民から渇望されていたというのもその理由のようです。
もともと猫には、幸運や強い生命力を謳った諺が多くあります。「ネコが後からつけて来ると幸運が起こる」「ネコは九つの命を持つ」「白猫の夢を見ると幸せになる」など。きっと、猫はその独特な愛らしさ、神秘的な生態から幸運や霊的な能力を秘めた動物と考えられたのでしょうか。
招き猫たちを乗せた宝船は、たいそう縁起の良い、また大変めでたい存在だということが分かりましたね。招き猫は「金運・財運」のご利益をもたらしてくれる存在だけではなく、世界中の人々に福をもたらしてくれるめでたい存在です。これからも、世界中の多くの人々にたくさんの福を呼び込んでくれることでしょう。
イベントイラスト 宝船に乗った招き猫
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